ドイツのEU離脱を求める政党の登場(3)
心の底に沈み込み、癒やされることのない深い悲しみを「哀しみ」と呼ぶならば、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の綱領からにじみ出てくるものは「哀しみ」ではないか。
AfDの綱領は次のような言葉で始まる。
「ドイツのために起(た)ち上がる勇気。私たちは臣民ではなく、自由な市民である」
続いて、綱領は次の3つの文章を掲げる。
「私たちはリベラルであり、かつ保守主義者である」
「私たちはわが国の自由な市民である」
「私たちは民主主義の堅固な支持者である」
そして、長い間、募る思いを胸に抱え込み、口に出すことをためらってきた人々に「今こそ起ち上がり、行動する時だ」と呼びかける。「正義と法の支配に反すること、立憲国家を破壊するようなことをこれ以上、見過ごすわけにはいかない」「健全な経済諸原則に違背する政治家たちの無責任な行動を見過ごすわけにはいかない」と記し、「だからこそ、私たちは真の政治的選択肢を提示する」と訴えている。
「立憲国家の破壊」「健全な経済諸原則への違背」とは、何を意味するのか。これは、この政党の生い立ちに深く関わる表現である。「ドイツのための選択肢(AfD)」は2013年、ギリシャ危機のさなかに結成された。でたらめな財政運営を重ね、「国家破綻」の危機に瀕したギリシャを救済するため、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が大規模な金融支援に乗り出した時期である。
ギリシャは、労働人口の4人に1人が公務員という「役人天国」だった。年金の支給は55歳から。しかも、年金は現役時代の給与の9割を支給するという大盤振る舞い。これでは国家として立ち行かなくなるのは当たり前だ。
そのギリシャに、EUとIMFは2010年の第一次金融支援で1,100億ユーロ、2012年の第二次金融支援では1,300億ユーロという巨費を投じることを決めた。緊縮財政への転換と経済改革の断行を条件にしたうえでの支援とはいえ、その負担はEU加盟国、とりわけその最大の資金拠出国であるドイツに重くのしかかってくる。
ドイツは、欧州連合(EU)の前身の欧州共同体(EC)の時代から、巨額の資金を拠出してその運営を支えてきた。少し乱暴に言えば、自動車や鉄鋼製品の輸出でドイツが稼いだ金でフランスなどに潤沢な農業補助金を回し、それらの国々を支えてきたという側面がある。誰も口に出しては言わないが、それは第2次大戦を引き起こしたドイツによる「隠れた戦後賠償」という性格も帯びていた。戦争に敗れ、ホロコーストで断罪されたドイツには、そうした配分に抗弁できるはずもなかった。
しかも、加盟国による拠出金の負担と補助金配分という受益の割合をどうするかは、EU本部のあるブリュッセルの官僚たちと各国の政治指導者による協議で決められる。主権者である国民には異議を差し挟む機会すらない(ドイツには国民投票の制度がない)。そうした不満が鬱積しているところに、「健全な経済諸原則」を踏み外したギリシャを救済する決定が下されたのだ。
2013年にAfDを立ち上げた時の創設者の1人は、ハンブルク大学のベルント・ルッケ教授(経済学)である。もともと共通通貨ユーロの導入について「歴史的な過ちである」と批判しており、ギリシャ救済についても「とんでもない災い」と非難した。高級紙フランクフルター・アルゲマイネの元編集者も創設に加わった。
ドイツにとって、欧州統合は国是とみなされてきた。その国是に「しかるべき見識を持つ人たち」が初めて、公然と反旗を翻した。「我慢に我慢を重ねてきたが、これ以上、負担ばかり押し付けられるのはごめんだ」という声が噴き出したのである。
そうした憤りを背に船出したAfDは、綱領にも「欧州連合(EU)を中央集権的な連邦国家にする考えに反対する。EUは各国をゆるやかに結びつける経済共同体に戻すべきだ。ヨーロッパ合衆国という構想も拒絶する」と記した。そして、根本的な改革がなされないならば、「ドイツのEUからの離脱、もしくはEUの解体を求める」と宣言した。それは、戦後のドイツと欧州の歩みに真っ向から挑戦するものであり、政治と経済の基盤を根底から揺さぶるものだった。
欧州統合の推進役を果たしてきたドイツが「統合推進か離脱か」で大揺れになるような事態になれば、その影響はドイツだけにとどまらず欧州全体、さらには世界経済にも及ぶ。とてつもない混乱が広がる恐れがある。
ドイツでは、主要政党のキリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPD)、緑の党なども欧州統合を進めることでは一致している。このため、たとえAfDが総選挙で躍進し、第一党になったとしても、単独で過半数の議席を確保しない限り、政権を担う可能性はない。EUからのドイツの離脱がすぐに現実的な政治課題になる可能性も極めて小さい。
とはいえ、ドイツの各種世論調査によれば、来年2月に繰り上げて実施される総選挙で、AfDはメルケル元首相の出身母体であるCDUに次いで第2党になる勢いを見せている。ショルツ首相が率いるSPDをしのぐことは間違いない情勢だ。ドイツのEU離脱というテーマは、いまや「一部の過激派の極端な主張」と言って済ませるわけにはいかない。どの政党も真剣に立ち向かわざるを得なくなるだろう。
欧州連合(EU)の本部があるブリュッセルでは、欧州委員会や閣僚理事会、欧州議会のスタッフら3万2000人の職員が働いている。加盟27カ国で使われる公用語は24。主要な会議の話し合いと議事録の作成には、それぞれ大勢の通訳が必要になる。EUの運営費は年々、膨らむ。AfDはそこにも鋭い視線を向け、「これらのシステムは非効率で市民の暮らしからかけ離れているにもかかわらず、肥大化している」と批判してやまない。
AfDの勢力拡大のもう一つの大きな要因は移民・難民政策である。AfDは、2015年の難民危機の際のメルケル首相(当時)の決断(困窮し、庇護を求める人はすべて受け入れるとの政策転換)を「完全な失敗だった」と弾劾する。法的な枠組みもないまま、庇護を求める人も出稼ぎ目的の人も一緒くたにして受け入れてしまった、という。
その結果、同年末にケルンで集団性暴行事件が起き、ハンブルクやシュツットガルト、ドルトムントなど各地で同じような事件が続発した。移民と難民による犯罪の多発はドイツ社会に深刻な影を落としており、「政策の大転換が必要だ」というAfDの訴えは、ますます説得力を増してきている。
ただ、どのように転換するかをめぐってはAfD内部でも意見が割れ、創設者の1人のベルント・ルッケら穏健派は離党した。穏健派が離れた後に改訂された現在の綱領は「信仰の自由は無条件で支持する」としながら、「ただし、私たちの法秩序やユダヤ教・キリスト教的な文化基盤に反するイスラム教の礼拝や習慣には断固反対する」という。つまり、アザーン(礼拝の呼びかけ)や公共の場でのヒジャブやニカブの着用は認めない。
綱領には「イスラム教はドイツに属するものではない。イスラム教徒の数が増え、広がることはわが国にとって危険なことだと考える」という、より直接的な表現もある。それらは、より過激な団体「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者(ペギーダ)」の唱えるスローガンと重なる部分があり、主要政党が警戒の眼差しを向ける理由になっている。
AfDの綱領でもう一つ注目されるのは「ドイツに国民投票の制度を設けよ」と主張している点だ。ナチス時代の反省から、「扇動的な政治家が民衆をあおり立てて国家の根幹を変えてしまう恐れがある」として、ドイツは国民投票の制度を設けなかった。このため、ユーロの導入にしてもギリシャ救済にしても「一握りの政治エリートたちによって決められてしまった」と、AfDは非難する。
綱領は「ドイツは政治的な岐路に立っている」とし、「憲法の改正や重要な条約の発効については国民の投票による同意なしに行ってはならない」と唱える。とりわけ、「財政支出をともなう決定については国民投票にかけよ」と言う。ユーロ導入やギリシャ救済が国民の頭越しに決められたことを非難するもので、これも有権者の胸に響く主張だろう。
ドイツのEU離脱は、英国の離脱とは比べようもないほどのインパクトを持つ。「イスラム教徒とどのように向き合うか」という問題も、欧州全体に突き付けられた課題である。そうした重要な政治課題について、これほどドラスティックな転換を唱えたドイツの政党は今までになかった。
現在、「ドイツのための選択肢(AfD)」を率いるのはティノ・クルパラ(49)、アリス・ワイデル(45)という2人の共同党首である。クルパラ氏は旧東ドイツ生まれで、塗装工から建設会社のオーナーになった実業家。ワイデル氏は西部ノルトライン・ヴェストファーレン州出身。バイロイト大学で経済学を専攻し、ゴールドマンサックスや中国銀行に勤めた。出身地、経歴とも対照的で、男女の共同党首というのも現代的と言うべきか。
ドイツの有権者は来年2月の総選挙で、2人が率いるAfDにどのような審判を下すのか。選挙結果は、ドイツだけでなく欧州全体の未来を大きく左右するものになるだろう。
(長岡 昇:NPO「ブナの森」代表)
*初出:調査報道サイト「ハンター」 2024年11月28日 「ドイツのEU離脱を求める政党の登場(3)」
≪写真≫
◎「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会(オンライン・マガジンPolitical violence at a glance から)
◎AfDの創設者、ベルント・ルッケ教授(英語版ウィキペディアから)
◎AfDのティノ・クルパラ(左)、アリス・ワイデル(右)共同党首(独紙ベルリナー・モルゲンポストのサイトから)
≪参考サイト&文献≫
◎調査報道サイト・ハンター「ドイツの『封印された哀しみ』が噴き出している(2)」
◎「ドイツのための選択肢(AfD)」の綱領(英訳版)
◎「ギリシャ問題とユーロ圏の構造強化(内閣府の公式サイトから)
◎「変調するドイツ政治」(板橋拓己、国際問題No.660 2017年4月)
◎英語版ウィキペディア「ベルント・ルッケ Bernd Lucke」
◎「共通農業政策の財政と加盟国の農家経済」(石井圭一・東北大学大学院准教授)
◎「欧州理事会、閣僚会議、欧州委員会」(宮畑建志)
◎『超約 ドイツの歴史』(ジェームズ・ホーズ、東京書籍)
AfDの綱領は次のような言葉で始まる。
「ドイツのために起(た)ち上がる勇気。私たちは臣民ではなく、自由な市民である」
続いて、綱領は次の3つの文章を掲げる。
「私たちはリベラルであり、かつ保守主義者である」
「私たちはわが国の自由な市民である」
「私たちは民主主義の堅固な支持者である」
そして、長い間、募る思いを胸に抱え込み、口に出すことをためらってきた人々に「今こそ起ち上がり、行動する時だ」と呼びかける。「正義と法の支配に反すること、立憲国家を破壊するようなことをこれ以上、見過ごすわけにはいかない」「健全な経済諸原則に違背する政治家たちの無責任な行動を見過ごすわけにはいかない」と記し、「だからこそ、私たちは真の政治的選択肢を提示する」と訴えている。
「立憲国家の破壊」「健全な経済諸原則への違背」とは、何を意味するのか。これは、この政党の生い立ちに深く関わる表現である。「ドイツのための選択肢(AfD)」は2013年、ギリシャ危機のさなかに結成された。でたらめな財政運営を重ね、「国家破綻」の危機に瀕したギリシャを救済するため、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が大規模な金融支援に乗り出した時期である。
ギリシャは、労働人口の4人に1人が公務員という「役人天国」だった。年金の支給は55歳から。しかも、年金は現役時代の給与の9割を支給するという大盤振る舞い。これでは国家として立ち行かなくなるのは当たり前だ。
そのギリシャに、EUとIMFは2010年の第一次金融支援で1,100億ユーロ、2012年の第二次金融支援では1,300億ユーロという巨費を投じることを決めた。緊縮財政への転換と経済改革の断行を条件にしたうえでの支援とはいえ、その負担はEU加盟国、とりわけその最大の資金拠出国であるドイツに重くのしかかってくる。
ドイツは、欧州連合(EU)の前身の欧州共同体(EC)の時代から、巨額の資金を拠出してその運営を支えてきた。少し乱暴に言えば、自動車や鉄鋼製品の輸出でドイツが稼いだ金でフランスなどに潤沢な農業補助金を回し、それらの国々を支えてきたという側面がある。誰も口に出しては言わないが、それは第2次大戦を引き起こしたドイツによる「隠れた戦後賠償」という性格も帯びていた。戦争に敗れ、ホロコーストで断罪されたドイツには、そうした配分に抗弁できるはずもなかった。
しかも、加盟国による拠出金の負担と補助金配分という受益の割合をどうするかは、EU本部のあるブリュッセルの官僚たちと各国の政治指導者による協議で決められる。主権者である国民には異議を差し挟む機会すらない(ドイツには国民投票の制度がない)。そうした不満が鬱積しているところに、「健全な経済諸原則」を踏み外したギリシャを救済する決定が下されたのだ。
2013年にAfDを立ち上げた時の創設者の1人は、ハンブルク大学のベルント・ルッケ教授(経済学)である。もともと共通通貨ユーロの導入について「歴史的な過ちである」と批判しており、ギリシャ救済についても「とんでもない災い」と非難した。高級紙フランクフルター・アルゲマイネの元編集者も創設に加わった。
ドイツにとって、欧州統合は国是とみなされてきた。その国是に「しかるべき見識を持つ人たち」が初めて、公然と反旗を翻した。「我慢に我慢を重ねてきたが、これ以上、負担ばかり押し付けられるのはごめんだ」という声が噴き出したのである。
そうした憤りを背に船出したAfDは、綱領にも「欧州連合(EU)を中央集権的な連邦国家にする考えに反対する。EUは各国をゆるやかに結びつける経済共同体に戻すべきだ。ヨーロッパ合衆国という構想も拒絶する」と記した。そして、根本的な改革がなされないならば、「ドイツのEUからの離脱、もしくはEUの解体を求める」と宣言した。それは、戦後のドイツと欧州の歩みに真っ向から挑戦するものであり、政治と経済の基盤を根底から揺さぶるものだった。
欧州統合の推進役を果たしてきたドイツが「統合推進か離脱か」で大揺れになるような事態になれば、その影響はドイツだけにとどまらず欧州全体、さらには世界経済にも及ぶ。とてつもない混乱が広がる恐れがある。
ドイツでは、主要政党のキリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPD)、緑の党なども欧州統合を進めることでは一致している。このため、たとえAfDが総選挙で躍進し、第一党になったとしても、単独で過半数の議席を確保しない限り、政権を担う可能性はない。EUからのドイツの離脱がすぐに現実的な政治課題になる可能性も極めて小さい。
とはいえ、ドイツの各種世論調査によれば、来年2月に繰り上げて実施される総選挙で、AfDはメルケル元首相の出身母体であるCDUに次いで第2党になる勢いを見せている。ショルツ首相が率いるSPDをしのぐことは間違いない情勢だ。ドイツのEU離脱というテーマは、いまや「一部の過激派の極端な主張」と言って済ませるわけにはいかない。どの政党も真剣に立ち向かわざるを得なくなるだろう。
欧州連合(EU)の本部があるブリュッセルでは、欧州委員会や閣僚理事会、欧州議会のスタッフら3万2000人の職員が働いている。加盟27カ国で使われる公用語は24。主要な会議の話し合いと議事録の作成には、それぞれ大勢の通訳が必要になる。EUの運営費は年々、膨らむ。AfDはそこにも鋭い視線を向け、「これらのシステムは非効率で市民の暮らしからかけ離れているにもかかわらず、肥大化している」と批判してやまない。
AfDの勢力拡大のもう一つの大きな要因は移民・難民政策である。AfDは、2015年の難民危機の際のメルケル首相(当時)の決断(困窮し、庇護を求める人はすべて受け入れるとの政策転換)を「完全な失敗だった」と弾劾する。法的な枠組みもないまま、庇護を求める人も出稼ぎ目的の人も一緒くたにして受け入れてしまった、という。
その結果、同年末にケルンで集団性暴行事件が起き、ハンブルクやシュツットガルト、ドルトムントなど各地で同じような事件が続発した。移民と難民による犯罪の多発はドイツ社会に深刻な影を落としており、「政策の大転換が必要だ」というAfDの訴えは、ますます説得力を増してきている。
ただ、どのように転換するかをめぐってはAfD内部でも意見が割れ、創設者の1人のベルント・ルッケら穏健派は離党した。穏健派が離れた後に改訂された現在の綱領は「信仰の自由は無条件で支持する」としながら、「ただし、私たちの法秩序やユダヤ教・キリスト教的な文化基盤に反するイスラム教の礼拝や習慣には断固反対する」という。つまり、アザーン(礼拝の呼びかけ)や公共の場でのヒジャブやニカブの着用は認めない。
綱領には「イスラム教はドイツに属するものではない。イスラム教徒の数が増え、広がることはわが国にとって危険なことだと考える」という、より直接的な表現もある。それらは、より過激な団体「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者(ペギーダ)」の唱えるスローガンと重なる部分があり、主要政党が警戒の眼差しを向ける理由になっている。
AfDの綱領でもう一つ注目されるのは「ドイツに国民投票の制度を設けよ」と主張している点だ。ナチス時代の反省から、「扇動的な政治家が民衆をあおり立てて国家の根幹を変えてしまう恐れがある」として、ドイツは国民投票の制度を設けなかった。このため、ユーロの導入にしてもギリシャ救済にしても「一握りの政治エリートたちによって決められてしまった」と、AfDは非難する。
綱領は「ドイツは政治的な岐路に立っている」とし、「憲法の改正や重要な条約の発効については国民の投票による同意なしに行ってはならない」と唱える。とりわけ、「財政支出をともなう決定については国民投票にかけよ」と言う。ユーロ導入やギリシャ救済が国民の頭越しに決められたことを非難するもので、これも有権者の胸に響く主張だろう。
ドイツのEU離脱は、英国の離脱とは比べようもないほどのインパクトを持つ。「イスラム教徒とどのように向き合うか」という問題も、欧州全体に突き付けられた課題である。そうした重要な政治課題について、これほどドラスティックな転換を唱えたドイツの政党は今までになかった。
現在、「ドイツのための選択肢(AfD)」を率いるのはティノ・クルパラ(49)、アリス・ワイデル(45)という2人の共同党首である。クルパラ氏は旧東ドイツ生まれで、塗装工から建設会社のオーナーになった実業家。ワイデル氏は西部ノルトライン・ヴェストファーレン州出身。バイロイト大学で経済学を専攻し、ゴールドマンサックスや中国銀行に勤めた。出身地、経歴とも対照的で、男女の共同党首というのも現代的と言うべきか。
ドイツの有権者は来年2月の総選挙で、2人が率いるAfDにどのような審判を下すのか。選挙結果は、ドイツだけでなく欧州全体の未来を大きく左右するものになるだろう。
(長岡 昇:NPO「ブナの森」代表)
*初出:調査報道サイト「ハンター」 2024年11月28日 「ドイツのEU離脱を求める政党の登場(3)」
≪写真≫
◎「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会(オンライン・マガジンPolitical violence at a glance から)
◎AfDの創設者、ベルント・ルッケ教授(英語版ウィキペディアから)
◎AfDのティノ・クルパラ(左)、アリス・ワイデル(右)共同党首(独紙ベルリナー・モルゲンポストのサイトから)
≪参考サイト&文献≫
◎調査報道サイト・ハンター「ドイツの『封印された哀しみ』が噴き出している(2)」
◎「ドイツのための選択肢(AfD)」の綱領(英訳版)
◎「ギリシャ問題とユーロ圏の構造強化(内閣府の公式サイトから)
◎「変調するドイツ政治」(板橋拓己、国際問題No.660 2017年4月)
◎英語版ウィキペディア「ベルント・ルッケ Bernd Lucke」
◎「共通農業政策の財政と加盟国の農家経済」(石井圭一・東北大学大学院准教授)
◎「欧州理事会、閣僚会議、欧州委員会」(宮畑建志)
◎『超約 ドイツの歴史』(ジェームズ・ホーズ、東京書籍)